あなたの背中が遠い

私の吐息が届く距離にいるのに

私に背中を向けているあなたは

今何を考えているのだろう。

一人でいるより寂しくて

あなたの後ろで涙がこぼれた


一旦涙がぽろっと落ちると

流れるようにとめどなく溢れ

声を出すまいと口に手をあてた

いや、泣いてることを知らせる為に

嗚咽をこぼしても良かったかもしれない

だけど、あなたに鬱陶しい女だと思われたら、と考えたら

涙さえ、声さえ我慢出来た。

張り裂けそうに胸が痛いけど

それは私があなたに求めすぎているからだろうか。


二人でいる時ぐらい

二人で一緒に寝れる時ぐらい

私を抱き枕のようにぎゅっと抱きしめてくれてもいいのに・・

そんなことなんだけど

チリチリと小さな引っ掻き傷が痛む。

浅い傷はヒリヒリして痛いよ。

涙は止まらない。


ベットから抜け出して

安いラブホテルのトイレに座って

ちょっとだけ声を出して泣いた。

あなたが気付いてくれることを望みながら

あなたが気付かないでいてくれることを願いながら

ひとしきり泣いたら

だんだん

なんで私こんな所で泣いてるんだろう、と馬鹿らしくなってきて

しまいには、こんな人のせいで泣かされているのが腹立たしくさえ思えてきた。

とりあえず明日の為に目を冷やそうとトイレから出て

冷蔵庫から冷えたペットボトルを取り出した。

ちゃぁんと明日の事を考えて目が腫れないように冷やすなんて

女の子だわ。と他人事のように感心しながら

すやすやと安眠している人をじっと見つめた。


あぁ、もう終わりなんだ。

私、あなたから旅立つんだ。

あなたから沢山沢山色んなものを貰ったけど

私からあげられるものはもうないし

あげなくても、あなたは生きていける。

明日、起きたらあなたに伝えよう。

綺麗な顔で「さよなら」しよう。


そう決めると、メイク栄えするように

しっかり目を冷やさなくちゃとやっぱり思い

冷たいペットボトルを目にあてた。


ボトルから綺麗な雫が落ちた。

涙はもう止まっていた。

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